最近、何故か昼休みに呼び出される。
内容は様々で……
「付き合ってください」
だとか、
「すきです」
とか………
その度、杞沙ちゃんや楓が
男子を蹴散らすんだけど……
付き合ってくださいって
どこにだろう?
すきですって
友達としては嬉しいんだけど
話したことない人に言われても嬉しくないよ…
それを伝えようとするけど、
杞沙ちゃんや楓があたしと男子を引きはがして
有無を言わず教室に連れ戻す。
だから、男子たちがなんであたしを呼び出すのかわからなかった。
ある日の放課後――。
「千波ちゃん、ちょっといいかな?」
ん?
呼ばれた先にはクラスメイトの立花 徹(たちばな とおる)くんがいた。
徹くんは学級委員で男女から人気のある男子だった。
そんな彼があたしに?
そんなことを思っていると、
手をぎゅっと握られた。
えっ?
徹くんを見ると、真剣な顔であたしを見ていた。
「千波ちゃん、ちょっときて」
徹くんはあたしの手を引っ張って教室から出る。
杞沙ちゃんは用事があると言って帰って行った。
楓には今日は整美委員があって教室で待ってるように言われた。
あと、変なことも約束された。
「教室からはあまり行かないこと!男にきてって言われても行かないでよっ?」
可愛く言われるもんだからつい、うん!と返事してしまったあたし。
だから、あまり教室からでないようにしてたのに…。
楓、ごめん…約束破った…。
そう楓に心の中で呟く。
着いた先は、空き部屋。
暗くて少しホコリっぽい。
なんで徹くんはあたしをこんなところに連れてきたの?
疑問は増える。
すると、握られていた手を引っ張られた。
「わっ」
すとんっ
暖かい…
あたしが収まった先は
徹くんの腕の中…。
「わわっ、ありがと!…だいじょーぶだから、もう離してくれてもい「千波ちゃん、俺…千波ちゃんのこと好きなんだよ」
いいよって言おうとしたら
徹くんに遮られた。
すき…
そっかぁ!
「…友達としてすきだなんて、言ってくれてありがとう!あたしも徹くんのこと友達としてすきだよっ?」
「っ!」
目を見開いてびっくりしたような顔をする徹くんに
にこにこと笑顔のあたし。
うれしいな…
こんなにもあたしのことすきっていってくれる人…
不細工と嫌われてたあたしにとってかなり嬉しかった。
(過去も現在も千波は皆に嫌われてません)
「………そうか…だから、皆……」
そう呟いた徹くんは、
再び千波の手を握る。
「…へ?」
訳がわからず、千波は徹の手を握り返すと
「っ////ちょ、反則だよ、全く」
そう言って顔を赤らめる徹くんに
ますます訳がわからないと
首を傾げた。
徹くん、なんで赤くなってんだろう?
熱なのかな?
じゃあ、こんなところに居たらだめだよね!!
そう思ってあたしは、徹くんの手を引っ張る。
「えっ、どこいくの!」
「熱、あるんでしょ?早く帰った方がいいよっ!!」
あたしはそう言って教室まで徹くんの手を引っ張った。
「………千波ちゃん?」
後ろから聞こえたのは紛れも無いあたしの彼氏、楓の声だった。
「あ、楓!委員会終わったんだ?」
楓の元に駆け寄った。
「……誰?その男…」
「え、あぁ、徹くん!たちば」
ぐいっ
「えっ!?」
いきなり視界が真っ暗に。
その正体は…
「…千波」
楓に抱きしめられたから、だった。
………楓?
「心配した!教室に戻っても鞄しかなくて千波ちゃんいないんだもんっ!」
そっか、あたし……
楓の約束破ったんだっけ……
「……ごめん、楓」
「うん、許すよ……けど」
ん?…けど?