「「千波(ちゃん)は黙ってて!!可愛いんだよっ!!自覚して(よ)!!」」
二人とも見事にハモらせてあたしに言葉をぶつけた。
…………そう言われてもなぁ…
こんな地味で身長も低いこのあたしが可愛い?
ナイナイ!(無自覚)
二人とも目可笑しんじゃないかな?
眼科行った方がいいと思う。
だって、この前なんか、
目にゴミ入ったんだ……
それで涙が出た時に、
丁度クラスメイトに呼ばれたから
顔を上げたの。
そしたら、クラスメイト中の男子固まっちゃったよ?
それってあまりにもあたしの泣き顔が
不細工過ぎて固まっちゃったんでしょう?
すると、二人の喧嘩が止まる。
ぎゅううっ
「っひゃあ」
二人に抱きしめられた。
そして、
「なんてキザな子!」
「……だめだよ、他の男達にそんな顔見せたら…めっ!だからね」
とかなんとか言いながらぶつぶつと呟く二人。
えっ、な、なに?
「何の話?も~、なんのよぉ~!?」
無自覚な千波は二人の気持ちは永遠にわからないでしょう…。
あたしの親友の千波は…
一言でいうと可愛い!
それにちょこっと加えるならば、鈍感で無自覚…。
さっき、千波に凄い話を聞かされたけど…
あれほどとは……。
そりゃあ、クラスメイト中の男子…固まるわ。
千波は身長150センチという小さく、
その上かわいい。
その可愛い千波の目に涙が溜まってて
しかも150センチの身長…
声をかけたのが男子なら、身長は170センチくらいだろう。
え?何が言いたいかって?
上目遣いの千波に男子はノックアウトされたのだろう…。
可愛い可愛い千波の目には涙で上目遣い……
これはまさに誘惑という名の凶器よね。
だけど、千波は無自覚だし天然だし、鈍感だし…
ノックアウトさせられて固まった男子達をみて
自分の顔が不細工過ぎて固まったのだと思ったらしい。
それを聞いたとき
千波に聞こえない程度に
楓のやつと一緒にため息を付いた。
さすがと、言いますか…
なんと言いますか…
だから…なのね…。
先日からクラスメイトや他のクラスで
千波のことが好きなやつが増えてたのを耳にしたが…。
それはこーゆうことだったのか。
あたしは楓をみて思う。
コイツも千波狙いだったとは思わなかったけど…
はぁ~と少しため息をついたあたしは二人に目を向けた。
笑顔の千波がいて、その目に映ってるのは楓。
千波が選んだのだから、
少しは許すよ…
けど、まだ認めてないわよ。
だって、千波はあたしのだもの。
それより、幼なじみ同士お互い…
無自覚な親友(彼女)に
振り回されることになるとはね?
最近、何故か昼休みに呼び出される。
内容は様々で……
「付き合ってください」
だとか、
「すきです」
とか………
その度、杞沙ちゃんや楓が
男子を蹴散らすんだけど……