わたしは、そのときのことを思い出していた。



やっぱり……





「乗るのがダメなら…初めから乗れなんて言わねぇよ」




「だけど………走りって…大事なことなんじゃ…ないの……?」






鬼翠にとっても……鬼翠のメンバーにとっても……煌くんにとっても……





「だから、乗れって言われても……簡単に、はい、乗ります…なんて……出来ないよ……」





「………はぁ……

だから……んなこと、考えんな……
大丈夫だって言ってんだろ……」




煌くんは、心底めんどくさそうに言っていた。





「だけど………」




「はぁ……もういい……勝手にしろ」





煌くんは、バタンと強めにドアを閉めて部屋から出て行った。