これでいい。
このままの愛が続けばいい。
守り抜いてやる。
身体を重ねた今。
その思いが強くなる。
絶対に、何があっても、一緒にいる。
守る。
愛する。
後悔しないように。
これ以上、何かを見失わないように。
「死ぬなよ」
「・・・アレン」
「生きろよ」
それが全てだ。
伝えるべき、全てだ。
「・・・うん」
繋がれた手が強く握り返される。
愛しい。
愛しい。
俺は、ただ、深い愛を胸の中に感じた。
「そろそろ、かな」
「あぁ、もう、いつ来てもおかしくない」
生徒たちも目を覚まし、絶望への覚悟を決めた表情になっている。
今日で終わりなのだ。
生きねば。
敵が来ようと。
救いが来るまでは。
・・・本当の救いなのかは誰にも分からないが。
「最後の戦いだ!軍が来るまで何としても生き残れ!」
ヘンリー先生が生徒に向かって声を上げた。
「敵を殺すことより、自分の命を守ることを優先しろ!絶対に、生きろ!」
「行ってくる・・・」
「どうか無事で」
ロルフの手を取る。
生きてくれさえすればいい。
あなたが、この世界で、幸福であれるなら、もうそれ以上に望むものはない。
「守り抜くから」
ロルフは、私の手に口づけた。
静かで、穏やかで、ロルフらしくない仕草だった。
夜遊びの常習犯。
お酒も煙草も、きっと誰より早くから手を出してた。
女遊びだって、アレンがいくらたしなめても全然やめなかった。
そんなロルフが、紳士的な仕草で私に触れている。
「ご武運を」
私は十字を切る。
神様、どうか、彼をお守りください。
どうか、どうか・・・
神様・・・