君の生きた証~love in war~

戦いが終わるなら・・・

各国間での戦争は続くとしても、私たちの戦いが過去のものとなるのなら・・・

もう戦わなくてすむのなら・・・






私たちは今度こそ揺るぎない幸福を手に入れられるだろうか?
私は、鉄のにおいが立ちこめる中で、自分の胸に問いかける。



私は・・・どう向き合えばいい?

祖国と、その敵国と、そして、自分の愛する人と・・・




答えの出ない問いが胸に渦を巻いていた。
敵軍にとらえられ、捕虜になる。

故郷へ帰される。

同胞に銃を向けた裏切り者として白い目で見られる。



それぐらい、覚悟していた。

覚悟していなければ、彼に銃など向けられなかった。
でも、愛する人と離れることになったら?



ただナタリーを守りたくて、故郷に背を向けた。

ただこの愛を貫きたくて、家族を振り切った。



全てを懸けたこの愛は、いったいどこへ行くのだろう?
もう二度と会えないかもしれない。

このまま戦争が続けば、この愛は叶わなくなるかもしれない。



それを覚悟できるほどには、俺は大人でも、強くもないのだ。
まだ、だ。

まだ離れたくない。



まだ充分に愛し切れてない。
吐息をつく。



あぁ・・・どこかでかすった右手が痛い。
まだ愛し切れてない・・・まだ生き切れてない・・・


まだこれからだ・・・



俺たちは・・・まだ、生きなきゃならない・・・
ぼろぼろの身体にそう言い聞かせる。


まだ倒れるな。

まだ死ぬな。



せめて明日までは、彼女を守り切れ、と。








体力と精神力の限界を振り切った身体が、ふいにきしんだ気がした。