2人して銃を構える。
あぁ、くそ。
手も震えが収まらねぇ。
兵士たちが俺たちに狙いを定めるように近づいてくる。
まだ・・・死にたくねぇ・・・
と、周りで銃声が起こった。
ダニエルたちが作戦通りに銃を放ったらしい。
ほっとした。
あぁ・・・俺・・・まだ、生きてぇのか。
こんなに生に対して貪欲なのか。
ほっとすると同時に、また銃を構えなおした。
目の前の兵士が倒れたからと言って、油断はならない。
相手は本物の軍人だ。
「・・・っ!」
「おい・・・アレンどうした?」
ロルフが不審そうにこちらを伺う。
「なんか・・・真っ青だぜ、お前」
真っ青?
あぁ・・・分かるよ・・・さぞひどい顔色だろうな・・・
血の気が引いていくのが分かる。
「おい!アレン!」
足ががくんと折れた。
だって・・・
すぐそこに・・・
「父さん・・・」
ナタリーや、アグネス、ノエラたちと食事を作ろうとしたとき、また襲撃が来た。
悲鳴、泣き叫ぶ声、友達や恋人を呼ぶ慟哭・・・
建物にも響いてくる衝撃に耐えながら、私たちは震えていた。
数十分の戦闘の後、銃声がやんだ。
早いな、と思った。
戦争は、こんなに簡単に決着がつくほど単純ではない。
いや、双方に圧倒的な軍力の差があれば・・・
ましてや、学生と正規の軍人の戦いなど・・・
考えて、怖くなる。
まさか・・・負けた?
いや、そんなまさか・・・
ロルフも・・・?
死んだ・・・と?
頭を必死に振り、その考えを追い払う。
ダメだ。
彼を信じなければ。