銃の堅い感触を手のひらに感じながら、俺は自分の胸に問いかける。
『俺はどう生きるべきなのか』と・・・
アレンが・・・おかしい。
戦いのためと言うより・・・どこか、狂ったような。
いや、投げやりなような。
ずっと、ずっとそばにいた。
言葉が違っていても。
クラスが違っていても。
故郷と聞いて思い出す風景が違っていても、それでも寄り添ってきた。
だから・・・分かる。
アレンはおびえているのだ。
「私たちは・・・何を?」
パトリシアがヘレン先生に訊ねる。
「そうね・・・負傷者の看護をお願い」
「分かりました」
「それに、食事も」
「食事?」
「えぇ、昨日の朝から何も食べてない生徒も多いわ」
「そう・・・ですね」
私自身もお腹がすいていた。
「ついてらっしゃい」
ヘレン先生に促され、アレンたちが向かったのとは別の倉庫へ行く。
そこには、見上げんばかりにうずたかく積まれた糧食があった。
日持ちのする黒パン。
燻製の肉。
ジャガイモ、にんじん、ピクルス・・・
「これは・・・」
「これだけあれば、1ヶ月は持つでしょう」
「えぇ・・・」
「生徒全員が食事に困らないようにと準備したのだけどね・・・」
先生の横顔が苦い。
「これじゃ・・・もっと長いこと過ごせてしまうわねぇ」
「先生・・・」
「私たちのクラスでは、もう分かっているだけで14人が命を落としたわ」
「・・・!」
思わず言葉を失った。
「35人いて・・・14人が?」
「えぇ・・・」
先生は、悔しげに、それでいて慈しみのこもった口調で、彼らの名をつぶやいていく。
授業中の私語が絶えないアンドリュー。
同じ新聞部でおっちょこちょいなドロシー。
いつも人のパンを取っては怒られるピーター。
テニス部のバーナード。
恋人同士の、ルドガーとキャサリン。
地味なアーロン。
ダンスが得意なリリアンと親友のエイプリル。
美術部のテオドールとマリア。
口の悪いマージ。
おとなしいジョアン。
ピアノが上手なルイーゼ。
みんなの笑顔が浮かんでは消えていく。
生きねば。