君の生きた証~love in war~

ヨーロッパの外れのある国に、1人の少女がいた。

彼女の名は、ナタリー・マルグリット・ロムニエル。



金色の髪。

透き通った青い瞳。

ふっくらとした薄紅色の頬。

豊かな才知。


それらの全てを持った心優しい少女だった。
ナタリーは、15歳の春、全寮制の高等学院に入学した。

各国から優秀な生徒たちが集う学院で、ナタリーは学校生活を送る。



穏やかで、平凡な日々を過ごしていたナタリーだったが、戦争の影が学院を襲うようになり・・・
物語は、20世紀前半頃・・・


国境近くの歴史ある学院での出来事であった。
私の名は、ナタリー・マルグリット・ロムニエル。

ごく普通の17歳だ。



この学院に入学して、2年ほど。

もう2年生になった。


今までは、平凡で幸せな日々だったのに・・・
「アレン・・・」


隣を歩く恋人、アレン・ヘンリー・ジョーンズに呼びかける。



「うん?」

「・・・なんでもない」

「何だよ・・・」

「ううん、すごい普通で幸せだな、って」



学校から寮までの帰り道を一緒に歩くのが、付き合い始めてから、ずっと変わらない私たちの習慣。

そして・・・これも。


女子寮まで送ってもらい、人影のない場所で口づけを交わすのも、私たちの習慣だ。





照れたみたいな、優しい口づけ。

変わらない私たちの習慣。




「ん・・・っ」

「・・・おやすみなさい」

「あぁ。じゃあな」




そうやって、言葉を交わすことも。




こうやってごく自然に出た言葉さえ、叶うと信じられない。

アレンも、私も・・・



いや、この学院の生徒みんなが・・・

「お帰りー」


部屋に入ると、一足先に帰ってきていたルームメイトが勉強をしていた。


「ただいま。パトリシア、早かったのね」

「うん。ナタリーは、今日もアレンと?」

「もー、毎日同じコト訊かないでよぉー」



彼女は、パトリシア・フローラ・バークス。

栗色の髪に、水色の目がかわいい美少女だ。