君の生きた証~love in war~

ロルフは、いつも私ではない誰かを見ているようだ。


遠い、遠い誰か。



以前、交際していたドロテアでもない。

火遊びするようにイチャつくエレノアでもない。

クラスでも仲のいいミランダ?

それとも同じバスケ部のクロディーヌ?



違う。

そうじゃない・・・もっと違う誰か。
それがどうしても分からなくて・・・

私はいつも切なくなる。


好きになったのは、私からだった。



そんな負い目からだろうか。



こんな気持ちになるのは・・・
「ゆっくり・・・寝ろよ」


私の額に口づけて、ロルフは闇に包まれた校舎の中を歩き出した。





ロルフ・・・あなたは、何を隠しているの?
何を抱えているの?

それは、私では支えきれないものなの?

ねぇ・・・教えてよ。



こんな夜だからだろうか。

今夜は、問いかけが胸からあふれ出す。



私は、疑念が声にならないようにと、唇を引き結んだ。
俺が向かったのは、2階の図書室だった。



見たいものがあった。
確かめて、・・・それが真実であったら、今のままではいられない。


何かが崩れる。

何かが壊れる。



その何かは、おそらく二度と取り戻せない。
沈黙が支配する図書室の扉を開いた。




分かってる。

誰かが傷つくことも。

こんな疑いを抱くことすら、裏切りであることも。





それでも・・・


俺が確かめなければいけない。

俺は、書架から数年前の新聞を手に取った。

パトリシアの国の新聞だ。



故郷のことを知りたいと願う生徒のために、取り寄せているらしい。

俺は、語学の勉強のために、この学校に来る以前から読んでいた。



そのとき、目についた記事のことを思い出したのだ。





そして、俺は・・・