振り返ると、薄暗い月明かりを背負い、立つ男がいた。

はっとして、身構える。




緊張で心臓の音が高くなる。

これで・・・終わりか?

俺は・・・殺されて・・・死ぬのか?

まだ、まだ・・・俺は・・・






敵軍の幹部だろうか。

この若い兵士を助けに来たのか。

それとも、俺と同じ死体回収の任に就いたのだろうか。



月明かりに、男の顔立ちがくっきりと映える。

茶色の短髪と口ひげに、鋭い緑色の眼光。

いかにも軍人らしい精悍な顔つきの男は、上等そうな軍服を身にまとっていた。



兵士は、彼を指さして、苦しげな息の下からささやいた。





「・・・ンズ司令・・・、万歳・・・」