「うん?」
「危ないよ、そんなの・・・」
「・・・そうだな」
「私・・・」
私は、足の震えを押さえようと必死になった。
「あなたに死んでほしくない」
「パトリシア・・・」
「そばにいて・・・」
ロルフを抱きしめる。
「俺だって死にたくねえよ・・・でもな」
「友達が、待ってるんだ」
強い使命感に満ちた目だった。
あぁ・・・この人は強い。
私の何倍も、強い。
「・・・分かった」
「それに、夜戦は禁止されてる。大丈夫さ」
そして、ロルフは、そっと私の髪をなでた。
「弔ってくる」
数え切れないほど多くの友達がこの世を去った。
涙が涸れればいいと思うほど泣いた。
・・・どれだけ願っても戻らない人がいる。
それでも、生きていかなければ。
私たちは、生きなければ。
深い深い絶望の中で、私はそう決意した。
暗い闇・・・
うめき声が聞こえるのは、気のせいだろうか。
遺体回収に志願した生徒は、ごくわずか。
アレンやダニエル、そして俺は、その数少ないメンバーだった。
・・・無理もない。
あれだけの地獄を見たあとだ。
友達の死に触れることは、拷問に等しい。
倒れている人の顔を確かめ、担架に乗せる。
焼け焦げた遺体も少なくなく、制服だけで確かめたものもあったが。
ブラスバンド部のクララ。
秀才のヨハネス。
美人で有名なレイチェル。
恋人同士、かばい合うようにして倒れていたマルセルとエリカ。
気が狂うほど、大勢の友人たちが命を落としていた。
いっそ気が狂えばどれほど楽だろうと思った。