「ほら、行くぞ」 そう言って、私に手を差し伸べた。 あ……。 重なる。 私を外の広く明るい世界へまた連れ出してくれた日、 こんなふうに手を差し伸べてくれた晋也さんと。 重なる。 じわ…と目に涙が浮かぶ。 こんなに“幸せ”でいいのかな? 私なんかが……いいのかな? こんな綺麗な色ばかりのこの世界で、 またホントウのエガオを見せてもいいのかな?