もう私は、絶対に恋の病にかかっている。それも重症だ。
彼は犯人の方へ走ったかと思ったら、私を担いだ人の頭にかかと落としを食らわせた。
「…!?」
な、なにをしているの、彼は。そんなことしたら、……相手が怪我を…っ。
でも、楽しんでいるようには見えなかった。逆に、怒っているような…。
「なにしてんだよ、てめぇ…!!」
怒りをぶつけようと、彼の腹めがけてパンチしようとしていたが、その攻撃をいとも簡単に避け、エルボーを食らわした。
「ぐはっ…!」
なんて素早く、なんてパワーなの…。彼に目が離せなかった。
止めるべきなのかもしれないけど、動けなかった。