ピポパポピポ、という音が聞こえたあと、プルルルルという着信音が聞こえた。電話をかけたんだろう。
3コール目にして、あちらが出た。
『も、もしもし…』
お父様の声だわ!
「もしもし、今、お前さんのとこの一人娘を預かっている」
変声機で声を高くして、電話越しに話す。
「一億、30分以内に準備しろ。30分後、それを宝石館の屋上におけ」
『30分…!?無理だ。時間が短すぎる』
「いいからやれ…!!」
そして無理やり電話を切った。
お父様……話し声からして、とても心配しているわ。どうにかしてここから出たい。けど――――無能な私に、何ができるの?