「旦那様の一人娘の逢恋お嬢様には、命の危険があります」
「そうね」
宝石を扱っているのだから、私を人質にして「宝石をよこせ!」なんていうのもあるかもしれないわね。というか、小さい頃そんなことがあって、お父様は心配性になっちゃったくらいだし。
「なので、今日、一日ボディーガードをつけました」
「そうね。―――……って、え!?ボディーガード!?」
口に入れていたスクランブルエッグを思わず吐き出しそうになり、ゴホッゴホッとむせる。
なにそれ…、ボディーガードって…。そんなの私には要らないわよっ!!
「嫌よ。要らないわ。悪いけど、そのボディーガードさんにも帰ってもらってくれる?」
「旦那様の命令なのです。今日だけなので、お嬢様、我慢してください」
苦笑いでそう頼む木原に、私ははぁー、とため息をつく。木原とは結構長い付き合いだし、お父様に逆らえないことくらいわかってるわ。