眉間に皺をよせて、あいつ―――咲久も前に出た。






 咲久の後ろには、満と同い年と思われる男子が3人いた。







「……朱綾を返せ」






 こんな咲久、見たことない。



 鋭い目つき。聞いたことのない低い声。その場にいたものを震えさせる殺気。







 犬みたいな咲久…のはずなのに、


 今ここにいるのは、犬というより狼のほうが近い。







 本当に、私のために?私を探してきてくれたの?



 どうしよう。今、すごくホッとしてる自分がいる。安心してる。嬉しいって想ってる。