「好きって、……なんだっけ」





 ポツリとつぶやいてみる。







 好きって、恋愛感情のアレ?告白するとき定番のやつ?



 え、今、私……告られてんの?あいつに?








「好きは、好きだよ。好きな人に言う言葉」






 好き好きって連発した声がなぜか頭に響く。きっと彼の声のせいだ。嫌に透き通ってて少し低い、ずっと聞いていたいような声。





 私の隣にいた彼は、数歩前にでてクルリと私の方へと体を向けてから、







「返事、気長に待ってるから」






 そう言って、「バイバイ」と手を振って先に帰ってしまった。