「ていうか、徹今日遅いね?」





 部活に所属していない俺は、早く来るイメージだ。でも今日は遅い。美藍さんのせいですよ!と、遅くなった理由を俺は言えなかった。ていうか、言えるはずない。





「…ちょっと、用事がありまして」





 苦笑しながら言って、俺は「美藍さんこそ、遅くないっすか?」と聞いてみた。




 美藍さんも部活に入っていない。だからいつも俺の少しあとに来ている。






「委員会が長引いちゃってねー」






 耳に髪の毛をかけながら言う美藍さん。やっぱり美人だな…となぜか想った。






「徹、入ろ?」





 美藍さんがスタスタと扉の前に来て、扉に手をかけた。