『…もうやるならさっさとやっちゃお、徹』




『え!?』







 いきなりそう言った美藍さんは、俺の方に体を向け目を閉じ唇を突き出した。



 『キスして』と顔に書いてありそうな。そんな感じ。







 え…っと……。これは、もうしなきゃいけないパターンですよねー……。






『ぇっと…じゃあ、いきますよ…?』







 誰も見てない、そう思いながら俺は美藍さんの肩を掴んだ。あまり力をいれずに、優しく。そこで気づいたんだ。震えてるということに。





 緊張してるんだ…。怖いんだ。


 きっとこれが、ファーストキスなんだ。