トントンッとノックしたその部屋は、理事長室。 「入れー」 ダルそうな声が聞こえ、私はお金がかかってそうな扉を開ける。 「おう、美藍か」 「美藍さん」 中には、晋也さんだけではなく町村さんもいた。 「おはよう、2人とも。 支度、できたんで……、もう行きます。最後に挨拶はしておこうかと思って」 カバンの持ち手をギュッと握り締めながら私は言う。