私が叫んだあと、じゃり…と足音が聞こえた。
その足音から、徹ひとりだけで来たのだとわかった。
ごめんね。強く言ってごめん。叫んでごめん。
でもわかって…。
わかって、なんてわがまま。実際わかってる。人は口に出して言わなきゃ何も伝わらないってことくらい、わかってるよ。
でも、今は……独りになりたいの。考える時間が欲しいの。
その日から毎日、扉の方から徹の気配を感じた。
懲りないな…とか思いながらも、嬉しかった。助けようとしてくれる、その気持ちが。
ノックをすることもドアホンを鳴らすこともせずに、ただ扉の前でつっ立っているだけの徹。
でも、そっちのほうがとても安心したんだ。
なんか、「そばにいるよ」って言ってくれてるみたいで。