次の日から全校生徒揃っての合唱練習が始まった。

全校生徒とは言っても、各学年1クラスずつしかない上に、もちろん3年生はいない。合計43人での合唱だから頑張って声を出さなければだいぶこじんまりとしてしまう。

「指揮者と伴奏者が抜けて41人しかいないんだから、ちゃんと声出さなきゃ駄目。あと、伴奏者はもっと滑らかに弾かないと誰も歌えないよ。」

音楽の宮原先生の檄が飛ぶ。

「美穂、二番の頭からお願い。」

指揮者の風花がもう一度やり直しを指示したが、私はどうしても出だしで引っ掛かってしまって先へ進めなかった。

「ストップ。江奈、伴奏代わりなさい。」

先生は見かねて1年生の江奈に伴奏を指名した。江奈は私が当日休んだときの為のピンチヒッターだ。

私は仕方なく江奈の譜面めくりとして後ろに座ったままこの日の練習は終わってしまった。

あんなに練習してママに誉められて今日の練習を楽しみにしていたのが嘘のように、私は自分の伴奏に自信を無くして、目の前で何食わぬ顔でスラスラ伴奏する江奈を見ていたら、ついイライラしてしまった。

だって、まだ江奈は1年生なのだ。2年生の自分よりも上手に伴奏する姿を見ていると、やっぱり悔しくなった。