「うるさいっ!あなたなんかの手は借りない!」
私は手に力がこもり、ぎゅーっと握りすぎて爪が手のひらにくい込む。

「だから心配して言ってるんだろうが!」

お互い、すごい形相でにらみ合っている。

「由葵から頼まれたからって調子に乗ってるんじゃないの!?」

「あぁ、そーだよ。悪いか。」

何、こいつ。

「そうだよね。達川くんは由葵が好きなんだよね。」
私はさっきと違って、冷たく言い放つ。

「あぁ、好きだよ!だから頼られて嬉しかったんだ!」

私は、この一言で負けた気がした。


唇をぎりぎりと強く噛んで、涙をこらえて家とは別の方向に死にもの狂いで走った。



純粋な気持ちがほしい。

私の中の悪い物をすべて無くして取り払ってほしい。


そう強く想いながら全力疾走した。