私は息を思いっきり吸って、彼へ声が届くようにして叫ぶ。

『――くん!!』

彼は表情を変えずにこちらを向いた。

『私、前から――くんのこと、すっごく好きだったんだ!』


『―――――っ!』
彼はすぐに顔を赤く染めて、声にならない声を出した。


『じゃあね!!』

私は笑って手を振った。



明日は、卒業式。


よし、明日することはただひとつ。


“彼の姿を目に焼き付けておくこと”のみ・・・。