私の目の前で足が止まる。

「平山。ちょっとゴメン。」

佐倉くんは私の前髪を横にわける。

ひた・・・。

「うひゃあっ!?」
私の変な奇声にびくっとして一度佐倉くんは手を離す。

佐倉くんの大きな手が私の汗ばんだおでこにあたった。


由葵は目を見開いて、びっくりした顔をしている。


「平山、熱あるだろ?」

「・・・・・・・・・そのくらい、大丈夫。」
私は否定はしなかった。


「明日は体育大会だから。今日は休んだ方がいいと思うけど。」

「・・・・・・嫌だっ。」

「別に、休むのは逃げる訳じゃないと思うよ?」

私は無言で佐倉くんを見ていた。


「わかったよ・・・。今日は見学する。」


由葵は、先生を呼びに行ったようだ。

私、もう保健室にはお世話にはなりたくないし。


明日が、少し楽しみになったんだもん。

がんばりたいじゃんか・・・。