どこかぎこちない笑顔で軽くお辞儀をして、ステージの階段を上がって行く

ああ、あたしは本当にいま、このステージに立ってるんだ。

相変わらず現実味を帯びてなかった。


「神尾紫苑さんは本日、記念すべきデビューということで、何か意気込みなどはありますか?」

「はい、みなさんに最高の歌を届けていきたいと思います!今日はよろしくお願いします☆」

緊張で噛んでしまいそうになったけど、なんとか言い切った。

「はい、それでは紫苑さん、スタンバイお願いします」

ステージに上がる。

大勢のお客さん。観客席は完全に埋まっている。

「それでは歌っていただきましょう!
神尾紫苑さんで デビュー曲、
Dramatic Dream です、どうぞ!」


歌うんだ

あたしの歌を。


ステージにはスポットライトがかかり、
印象的なサウンドが流れてくる