そう考えたら不意に吐き気が襲ってきた
私はトイレに行こうとベッドから出て立とうとした
激痛が私を襲う。
『ぐぅ!?』
私はその場に倒れる
左足が…まったくいうことをきかない。
確信した
私はもぅ、皆とバスケができないのだと
私の目からはまた涙が流れた
『やだ…やだよ…』
看護師が来て起こしてくれた
肩を貸してもらってトイレに行った
私はこみ上げてきたものすべてを吐いた。
悲しみ、寂しさ、怒り、妬み、恨み、憎しみ、後悔。
少しはすっきりできた気がした。
「大丈夫ですか?」
看護師がずっと聞いてくる
『大丈夫です。ありがとうございます』
また肩を借りて、病室へ戻る
看護師はいそいそと病室を出て行った
窓の外を見ると小学生はいなくなっていた
『なんか、何もやる気起きなくなってきたなぁ…』
何もかもを飲み込む夜が来た
まったく寝付けなかった
明日は学校へ行く。部活仲間に会わなければならない
正直、今は会いたくない
会ったらきっと、作り笑いしかできない
このままずっと夜が続けばいいのに…
本気でそう思った。
翌日はいい気分じゃなかった
「体調は大丈夫かい?」
私は静かに頷いた
「じゃあ、はい。松葉杖」
『ありがとうございます…』
タクシーを呼んでもらい、松葉杖を持って学校に向かった
車の中でも私は乗り気じゃなかった
学校への距離が近づくにつれ、嫌な気持ちしか募っていかない
誰にも会いたくない。学校に行きたくない
でも、そんな私の気持ちを無視して学校に着いてしまった
『ありがとうございました…』
タクシーを降りて門をくぐった
門の前には担任がいた
「退院おめでとう、葉山さん」
美しい声で担任が話す
『はぁ…』
あまり乗り気のない声で返事をした
「荷物、持つわ。行きましょう」
先生にスクバを持ってもらって教室へ向かった
扉を開けてもらって教室に入った
幸い、私のクラスの女バスは私だけ。
不幸中の幸いだった
席に着くと隣のやつが異常に話しかけてくる
「なぁ、なんで怪我したんだ?部活?」
私は黙って頷く
「どんくらいで治んの?」
話しかけないでよ。
『半年…』
話したくない
「半年?なげぇな。大丈夫?」
心配なんかしてないくせに。
私は頷いた
同情ばっかりする優しい嘘つき
私はそんな人よりきつい正直者の方が好きだ
心にもない言葉はいらない