高校1年 春

僕は春が1番嫌いな季節だった。
無口で人見知りな僕は一人クラスの1番端の席で佇んでいた。

友達なんてできる気がしない。
勉強が普通にできた僕は、努力をしたくなくて自分のレベルよりかなりレベルの低い近所の高校に入学した。


やはり自分に会う人なんていないし、周りを見渡せば金髪やピアスやら、チャラチャラした奴ばっかりだった。

この世で1番嫌いな行事とも言える自己紹介…。僕はこのときだけこの世から消えてしまえばいいと思った。

『えっと…東中から来ました。39番の柳瀬明希です。…よろしく。』 

地味な空気が流れ僕を注目している。とりあえず席について時計をガン見していた。

「明戸中出身の40番、吉岡真愛です。えーーっと、まおって呼ばれてるんでまおって呼んでください!よろしくお願いします!」


僕の中の何かが動いたんだ。
この心の痛み。
素直に可愛いと思った。この日から僕は変わったんだ。