私立リアンナ学園。
都内にある、中高一貫制の共学校だ。
始業式には出遅れたけど、この春、私はこの学園に転校してきた。
それは父の転勤で、急遽決まった事だった。
「・・・うーん・・・。迷った」
現在、放課後。
部活見学に繰り出したは良いものの、お目当ての部が見つからない・・・。
確か、この辺だったと思うけど・・・。
――あ。
話し声が聞こえる・・・。
「ホントめんどくさいゲームを考えてくれたよね」
男の子・・・?
「異星人の顔なんて判別つかないよ。調べ終わった女は”殺す”で良くない?」
ころ――?
「誰だっ!?」
ガラ!!
「きゃ!?」
突然開いたドア――
私は手首を掴まれていた。
視線と視線がぶつかり合う――
鋭い眼――灼熱の炎のような眼をした男子。
「お前は・・・?」
「えと・・・」
私が戸惑っていると、彼の後ろから金髪の男子が顔を覗かせた。
「赤のリボンは一年生だね、何組の何ちゃん?」
穏やかな物腰は、まるで王子様のよう。
「1年2組、雛鳥初菜(ひなどりういな)、です・・・」
彼は優しく「そう」と頷くと、
「今の話、聞こえてましたか?」
まるで小さな子でも相手にするかのように、膝を曲げて目線を合わせてきた。
顔が近くて、ドキドキしてしまう。
「あの、えっと・・・」
「聞いてたんだろ!」
手首を掴んだままの彼が怒鳴って、私は「きゃあ」と小さく悲鳴を上げた。
「怒鳴らないで下さい!ってか聞いてたんじゃなく勝手に聞こえてきたし!秘密なら気軽にこんなとこで話さないで下さいよ!」
「ご尤もだね」
そう嗤ったのは黒髪の男子。
青いネクタイだから1コ上――2年生だ。
眼鏡をかけてて、いかにもインテリっぽい・・・・・・・・・結構好み。
「というか・・・灼呀(しゃくあ)、手、何ともないみたいだね」
眼鏡の彼に灼呀と呼ばれた男子――私を捕まえている人が、気付いたように驚いた顔をした。
「あらあら~早くもゲームクリアなの?」
ひょこっと顔を出したのは、この中では一番幼い顔立ちをした、銀髪の男子。
紫のネクタイだから、中等部の子だ。