人間とは、 不便な、いきものだ…。
逢えないと、 知【わか】 れば
よけいに、…あいたくなる し。
いつも 傍に いるとなれば
慣れすぎていて、 当たり前と なってしまう。
俺、本当は
別れたくなかった・・・よ。
フォトフレームの中の 柚 衣が 黙って
俺を みつめている。
『啓【ケイ】…』
こうしていると、 柚 衣【ゆい】 の、声まで
聴こえてきそうだ。
「柚 衣は 事故に
遭う前、俺のこと
どう…。思ってた ? 」
柚 衣 、 恋しいよ…。
…!
『 ン ピ…ン』
玄関のドア チャイムが 鳴る。
「はい???」
両手には、ビニール袋 いっぱいに
抱えて 立っている。
「! 来ちゃった…」
「由紀【ゆき】!!!」っ
俺は 驚いて、こえがでてしま う。
細身の体型で 彼女の
ポニーテールは よく、似合う。
怜や、俺よりは、一級 下の、 後輩 だ。
ま…。元カノと、言っても、俺が
中学生 くらいの話。
あの時期【じだい】
年下が、好みのタイプ だった俺は
由紀と、つきあっていた。
…しかし。あのころに
比べると、老けたよなぁ、 由紀も。
「…。来ちゃった
って、おま え」
「啓太は、カレーが ! 好きよね」
「は???」
「…作ってあげるよ」
「今から?!」っ
「栄養のありそうな物
ちゃんと 食べてなさそうだ し」
「…………」
由紀、 面倒 見の 良いところは
変わってない な。
…カレーか、、、。
苦手、料理だったな、 柚 衣の。
………。