陽向 緒は内面的で穏やかな性格だった
黒髪のロングヘアーで色白く、病弱だった
整った顔立ちで他クラスの男子から、上級生の男子から、他高の男子からなど色々な人に告白されたとゆう話を幼馴染みの櫻井 健(サクライ ケン)からよく聞いた

「椿…今の聞いたか…?緒が……」
動揺した様子で僕の元にかけて来た
健の額を汗がつたっている
「もちろんだよ…」
「峯岸…あいつふざけ過ぎだろ…。緒の事何だと思ってん………くっ……うぅ…」

読んでいた参考書にポタポタと何かが零れた

「健……場所変えよ」
健は黙り込んだまま片腕で目元を隠し、小さくコクッと頷いた

(健の事だから……屋上か)

鼻をすする健の腕を掴んで屋上へと足を運んだ


「………大丈夫か?」
ヒュウヒュウと吹く風が苛立たしい
「だい…じょ……ぶ」
ズズッ……ヒック…

大丈夫じゃないだろ。
そう言おうとしたが、健にも一応、男のプライドがあるだろうからやめとく

「ヒック……うう…えっ…!?」
僕は健の肩を寄せた
「ちょっ……なにす…」
「いいから」

コイツの事は保育園の頃からの仲だ。
どうすればいいかぐらい、すぐにわかる。

「笑ったりしない。泣きたいだけ泣けばいい」
「はっ……意味わかんな…」

とか言いながら、もう泣きそうな顔してるくせに。
僕の胸板を拳で叩き出す健
僕は何も言わなかった
「なんで………な……んで…………や……だ……。消えない………で…」
崩れ込む健を抱えた
先程の参考書に零れた粒とは違い、大粒の涙を浮かべながら僕の胸を叩く健の姿は、見ていてとても痛々しかった

その日の夜、健は僕の家に泊まることになった