いつもなら眠くて仕方ない
校長の話も、
だるくて仕方ない
校歌斉唱も、
嫌で仕方ない
しんと静まる体育館の空気も、
後ろに誰かが立っていて違和感ある
背の順並びも。
今日はなんとも思わなかった。
それよりも。
早くあの子が見たい。
そんな思いでいっぱいだった。
「___転入生、紹介。」
そのアナウンスとともに
入り口が開き、
人が入ってきた。
あの子だ。
体育館のステージに上がった彼は
渡されたマイクを口に少し近づけて
「宇佐(ウサ)小学校から来ました。
竹内 真樹です。
よろしくお願いします。」
と、一言だけ言って
すぐにステージから降りた。
…真樹くん…か。
どんな子なんだろ。
いい子かな。
仲良くなれたらいいな。
そんな思いで胸がいっぱいだった。