「ああ、賞を良く取るヤツって、美術部のヤツがほとんどじゃん?何かすげー練習とかするわけ?」

椿 成平は頬杖をつくと、他愛のない好奇心から、そうたずねた。

椿と冬馬は最近、ある一枚のデッサンがきっかけで親しくなり…三年生であるが帰宅部の椿は、ヒマを見つけると美術部に顔を出すようになっていた。

部員の方も、部外者の椿が出入りしようが全く気にする様子はなく、それぞれ絵を描く事に没頭している…

静かで独特の緊張感がただよう美術室は、椿にとって居心地のいい場所だった。

「ばかだな〜椿先輩わ〜」

「なんだとぉ?!」

椿は最近顔見知りになった、二年下の秋山 実琴をにらみつけた。