だから俺も小さな声で
「あの1番後ろの窓際に座ってる子だよ」
それを聞くなり直哉はすぐさまその席を見る。
「まじかよ?!横橋さんかぁーー。かわいいもんな」
「横橋…って言うんか」
「あれ、クラスメートなのに名前も知らないの?」
「俺…全然来てないだろ。だから席周辺の奴らしか知らない」
「確かにねー」
2人で横橋さんを見ながら話をしてたら
--ガラっ!!
後ろの扉が開いて
「きゃーー遅刻したぁ…」
名前のわからない女が遅刻したらしく
焦った様子で教室に入ってきた。
その女が向かったのは横橋さんの所で
「聖奈おはよーー!遅刻なんて珍しいね」
「おはよ…今日起きれなかった…」
「あれまぁ」
その女に向かって満面の笑みで話しかけてる。
--ばくばくばくばく
もはや俺の心臓は治まることを忘れたんじゃないかってくらい
激しさを増している。
気づけば横橋さんに釘付けになっていた。
これが【好き】なのか。
「やべぇな」
そんな言葉を直哉が聞き逃すはずもなく
「ついに柊斗に好きな人かぁ…なんか俺も嬉しいよ」
「なんで直哉が嬉しくなるんだよ」
「だってずっと適当に遊んでるくらいだった柊斗が本気で…って本気なのか??」
「本気だよっ!!」
直哉俺をバカにしてるよな。
まぁ、今まで俺が本気で好きになった子なんていなくて
寄ってきた女と適当に遊んだりしてたのを見てたから
そう思われても仕方ないだろう…
でもこれは、ほんとに本気だろう…
こんな気持ちになったのは生まれて初めてだし。