なんだったんだ…
俺も席についたら
「柊斗どこ行ってたんだよ!!」
後ろの席の直哉が俺の両肩を掴み
激しく揺すりながら話しかけてくる。
目が回るだろうが!!!
「やめろ」って言ったら大人なしく揺するのをやめた直哉。
俺は後ろを向き
「江本のパシリに捕まったんだよ!!まじあり得ねぇあいつ!!」
「柊斗もパシりの被害にあったんかー。ドンマイ♪」
「ぜってぇ楽しんでるだろお前!!」
「そんなことねぇよーうぅっ。かわいそうに…うぅ」
いかにも嘘らしい泣きマネしやがった。
ほんとはかわいそうとか思ってないだろ。
それより俺は気になることを聞いてみる。
「あのさ、ある子に対してこの子の笑顔をずっと見てたいって思うのって何?」
「は?!なんだよいきなり!!」
「だから言ったことそのまんまだよ!」
「んーー…それはだねぇ…きっと恋!!」
「恋…?」
恋…ってあの恋だよな?
池で泳いでるあいつじゃないよな?
でも…それはない。
俺一生独身でいるって思ってるし。
「そうそう!!」
「は?!あり得ねぇだろ!!」
「じゃあさ、他の子の笑顔をずっと見てたいって思う?」
「……」
その言葉を聞いて、俺は周りにいる女たちを見てみる。
…なんとも思わない。
ふと1番後ろの窓際に座ってるその子を見たら
--ぼっ!!
なんでか頭に火がのぼるような感じになった。
また顔が熱い。
それと同時に心臓がばくばく激しく動く。
やばいなこれ…
「あのさ…」
「なんだよ柊斗」
「俺あの子…好きかもしんねぇ」
「え?!だ、誰だよ!!!」
直哉の声がでかすぎて、周りの奴らが一斉にこっちを向く。
「直哉黙れ」
「悪い悪い!!…てか誰なんだよ?」
今度は俺にしか聞こえないくらい、小さな声で言ってきた。