奏多…

「っ?!誰…?」

確かに聞こえた
僕を呼ぶ声

「誰か…いるの…?」

そう問いかけるけど
返事はない

「空耳か…そうだよね…誰かいる訳ないよね…」

最近、よく幻聴が聞こえる
その声はいつも、僕を呼ぶだけ


奏多…笑って…?

「っ?!玲央?!いるの?!」

確かに聞こえた玲央の声
僕の名前を呼んでたのも玲央だったのかな

「玲央?玲央なの?!」

だけど、いくら呼んでも返事はない
やっぱり…幻聴だよね…

玲央がいる訳ない…

「でも、玲央…僕に笑ってって言った…」

やっぱりちゃんと見てるんだね
僕が最近泣いてるから

だから、心配して
来てくれたのかな

「ごめんね…玲央。心配かけちゃって…でももう大丈夫だよ…玲央のおかげで吹っ切れたよ。ありがとう…玲央」

玲央のためにも笑わないと

君のいない世界で僕は
今日も生きている