「そして…奏多…」

「…玲央っ…!!」

「お前と出会ったのは…あの桜の散る季節…病院の屋上だったな…」

「…うんっ…」

「あの時…お前がいなかったら俺は…後悔したまま死んでた…でもお前が止めてくれたから…お前が一緒に生きたいって言ってくれたから…お前が俺にもう一度…生きる希望を教えてくれたんだ…」

「…っ!玲央…っ…」

「生きることを教えてくれた…俺はお前に何度も何度も…救われた…お前がいてくれたから…俺は…こうしてまた…笑う事が出来た…」

「…僕だって…玲央に何度も救われたよ…!玲央がいてくれたから…僕も一緒に生きたいって思えた…っ…!」

「…奏多…俺に幸せをありがとう…温もりをありがとう…笑顔をありがとう…そして…希望をくれて…ありがとう…!」

「玲央…っ!僕まだ玲央の笑顔を見ていたい…!玲央と一緒に…生きたいっ…!」

「俺だって生きたいよ…!でも…もう俺には時間がないんだ…」

「そんなの嫌だ…!!玲央…死なないでよ…!」

「最初で最後の思い出…最高な誕生日…俺は忘れないよ…お前と出会えた事も…俺はずっと…覚えてるから…!」

「…っ!僕も…忘れないよ…!玲央と出会えた事も…玲央と過ごした時間も…!そして…玲央がここにいた事を…っ!僕は絶対に忘れないからっ…!!」

「ありがとな…奏多…お前に出会えて本当によかった…今までありがとう…奏多…」

「…逝かないでっ…!玲央…!」

「奏多…笑って?俺…お前の笑ってる顔が好きだから…だから…笑って?奏多…」

「…こんな時に…笑えないよ…!」

「頼む…奏多…俺の最後の…お願いだから…お前の笑顔を頭に焼きつけとくから…向こうで辛くなったら…お前の笑顔を思い出すから…だから…!笑って?奏多…」

「…っ!玲央…っ…!」

泣きながら奏多は笑ってくれた
もう思い残す事は何もない…

「ありがとう…奏多…お前の事…ちゃんと見守っとくから…あの空の上で…」

俺は奏多の頬に手を伸ばした
奏多はその俺の手を握ってくれた

奏多の手は暖かった…

俺が死んでも
ちゃんと奏多のそばにいるから

だから大丈夫…
お前のそばに俺はいるから