そしてやっと
俺たちの番がやってきた

「やっと来たな。乗るか」

「うん。乗ろう」

これで最後…
そう思うと胸が苦しくなった


「…………」

観覧車に乗ったものの
俺たちは無言だった

何か話そうとしても
なかなか口が開かないのだ

重たい沈黙が続いた
その沈黙を破ったのは奏多だった


「ねぇ、玲央…楽しかった?」

「あぁ。すげぇ楽しかったよ。ありがとな…」

「そっか…よかった…僕も楽しかった。また…来たいなって…思った」

「…………」

また来たいか…
俺も来たい…だけどもう…

俺には時間がない
多分、今日が最後になるだろう

「奏多…そっちに行ってもいいか?」

「え…?」

何か無性に寂しくなって…
奏多の隣に行きたいって無意識に思っていた

「やっぱり、奏多の隣は落ち着くな…」

「そうかな…?」

奏多の隣は、すごく落ち着く
不思議と心が和らぐんだ

「奏多…」

「…っ?!玲央…?」

気づいたら俺は
奏多を抱きしめていた

「ごめん…でも今だけこうさせて…」

「…うん…」

奏多は戸惑いながらも
受け入れてくれた

「言っとくけど、俺はホモじゃねぇぞ?」

「ははっ…分かってるって」

どこか悲しいげに笑う奏多を
さらに強く抱きしめた

そして、俺は
口を開いた…