ドンッ!

誰かに俺は腕を掴まれ
俺は地面に落ちた

「いってぇ…」

俺は顔を上げ、俺の腕を掴んだであろう人物を睨んだ

「何で止めんだよ!あともう少しだったのに…!何で止めたんだよお前!!」

俺はその少年に近づき
その少年の胸ぐらに掴みかかった

だが少年は顔色一つ変えず冷静だった

怖がる様子もなく
ただ俺を見つめてるだけだった

そんな時、少年が口を開いた

「…どーして死のうなんて思ったの?」

冷静な口調で少年は俺に聞いてきた

俺は少年の胸ぐらから手を離し
自分が死のうとした理由を話始めた

「もう疲れたんだよ。こんな人生」

俺がそう答えると少年は
表情を変えずただ俺を見つめてる

「俺、死ぬんだよ。俺に生きる希望なんてない。いずれ俺は死ぬんだ。だったら今死んだって同じだろ?どーせ死ぬんだから。」

俺はそう少年に向かって呟いた
だけど少年は相変わらず俺を見つめてるだけだった

「何も言わねぇのかよ、お前。お前が聞いてきたんだろ?なのにただ俺を見てるだけかよ!」

俺は少年に向かって叫んだ

「お前には分かんねぇよ!俺の気持ちなんて…!一生分かんねぇよ!だからもう俺の事はほっといてくれ!」

そう告げ、俺はまたフェンスに向かって
歩き始めた

だけどそれは、少年の手によって
阻止されてしまった

「何だよ!お前に関係ねぇだろ!もうほっといてくれよ!」

「死んでもいい事なんてないよ」

少年がやっと口を開いた
だが、少年が発した言葉は余計俺を苛立たせた

「今まで生きてきていい事なんて何一つなかった…!この心臓のせいで、今まで苦しめられて来た…俺の人生…めちゃくちゃだ…!!!」

気づけば俺は泣いていた
悔しくて悔しくて…ただそれだけだった

「君はこの人生に後悔してないんだね?」

少年の言葉に俺はハッとした

「君はこの人生楽しかったって言える?悔いがないって言える?」

「そ、それは…」

俺は何も言えなかった
少年の言っている事は全て図星だからだ

「これから楽しい事があるかもしれない。だからもう少し生きてみようよ」

「っ!そんなのただの綺麗事だろ!お前と俺は違うんだよ…!お前みたいに楽しい人生を送ってきた人間には俺の気持ちなんて分かんねぇんだよ!」

俺は少年の手を振り払うと
少年は俯いてしまった

「…お前に分かるわけねぇよ…」

俺は少年に向かってそう呟いた