梓凪さんと話し終わったあと
新汰が検査から帰ってきた

「玲央さん、検査の結果問題ないって言われました」

「そうか、よかったな!」

嬉しそうに言う新汰につられ
俺も嬉しくなった

「…俺の記憶…俺が頑張れば戻るそうです」

「おぉ!よかったじゃねぇか」

「…俺に出来ますかね…」

不安そうに俺に聞いてくる新汰
そりゃ、不安だよな…

「大丈夫。お前なら出来る。俺も手伝うから。一緒に頑張ろう。な?」

「…はい!」

俺の言葉に新汰の顔は明るくなった
ずっと笑っててほしいな

新汰にも、颯人にも
そして、奏多にも…


そーいや、奏多来ねぇな…
やっぱり何かあったのか…?

そんな時、ドアが思いっきり開いた

ガラッ!

「ごめん!玲央!遅くなった!」

そこには息を切らせながら
謝る奏多がいた

「いや、全然大丈夫だから!そんな急がなくてよかったのに!」

「いや、いつもよりかなり遅れちゃったから…心配かけちゃったかなって思って…急いで来た…」

肩で息をしながら
必死になって俺に言う奏多の姿が
何だかおかしかった

「ははっ!お前必死すぎ!腹いてぇ!」

「なっ?!ちょっと!玲央!笑わないでよ!」

怒っても全然怖くねぇって
まぁ、本気で怒ったら怖いけどな

「あ、そーだ!こいつ今日から俺と相部屋になった新汰!」

「…は、初めまして…!」

新汰は緊張しているのか
声のトーンが上がっている

「あははっ!そんな緊張しなくていいよ!僕は奏多!よろしくね!新汰くん!」

「よ、よろしくお願いします!あ、俺の事は呼び捨てでいいですよ」

「分かった!じゃあ、新汰!」

「はい!奏多さん!」

すっかり打ち解けたみたいで
よかった

「あ、そーだ!僕も連れてきたよ!」

「連れてきた?」

一体何を?
もしかして、犬とか?猫とか?

いや、それはさすがにないか
そこまでこいつはバカじゃねぇ…はず

「入っておいで!光輝」

その声と同時に
光輝と呼ばれた少年が入ってきた

「…は、初めまして…光輝です…!」

緊張しているのか、顔は真っ赤で
声も震えていた

「よろしくな!光輝」

「は、はい…!」

いきなり呼び捨てにしちゃったけど…
大丈夫そうだな

「…俺は…新汰です…よろしくお願いします…!」

「あ、はい…!よろしくお願いします!」

2人とも緊張しすぎ…
大丈夫かよ

「光輝は中学2年生だったよね?」

「はい…!そうです」

「じゃあ、新汰と同い年じゃねぇか!よかったな!新汰!」

「あ、はい!」

「仲良くするんだよ〜?」

奏多はニヤニヤしていた
何をそんなにニヤニヤしてんだ、こいつ

「つか、お前と光輝知り合いなのか?」

やけに親しそうだが
親戚か何かか?

「いや、違うよ!さっき知り合ったばっかり!ねぇ〜?光輝」

「はい、そうですね!」

「はぁ?!さっき?!」

いやいや、それにしては
仲良くなりすぎだろ、おい

そして奏多は話し出した

光輝と出会った時の事を