僕らの証

「新汰の事…これからよろしくね…」

「え…？」

梓凪さんのいきなりの言葉に俺は驚いた

「新汰の記憶…取り戻してほしいの…あなたに」

「…俺に…ですか？」

なぜ俺にそんな事を？
それに新汰の記憶を取り戻すって…

「新汰の失われた記憶は…決していいものではない…むしろその逆…新汰にとって辛い過去…」

「…っ？！そんな過去を思い出させるつもりですか？」

新汰は嫌な記憶なら思い出したくないと
言っていた

「…その記憶を取り戻す事が出来れば…新汰の記憶障害は治るの…」

「え…？それってどーゆう…」

「新汰が記憶障害になったのは…ストレスが原因なの。精神的なものからきた記憶障害なの」

「精神的なもの…」

それって…もしかすると

「いじめ…とかですか？」

「…まぁ、そんな感じかな」

いじめ…
奏多と同じ過去

そんな過去を思い出す事で
本当に新汰の記憶障害は治るのだろうか

「新汰は、小学4年生から6年生までずっといじめをうけてた。信じていた友達にも裏切られた…何度も何度も…新汰は死のうとしてた…」

「…っ！」

「あの子の手首には…無数の傷がある…」

「そ、それって…！」

「リストカット…だよ」

リストカット…
あいつは自分自身を傷つけてたのか…

「意識を失うまで切り続けて…それも何度も何度も…毎日のように…何度死にかけた事か…！」

「…っ？！」

そんなになるまで新汰は
精神的に追いつめられてたんだな…

「新汰が記憶障害になったのは6年生の時…それは突然だった…」

「…何で新汰は…いきなり記憶を…」

「新汰は優しすぎるから…純粋すぎるから…裏切られた友達の事をずっと…信じ続けてた…いつかまた、前みたいに仲良くしてくれるって…」

「…っ？！」

「でもね…現実は甘くなかったの…その子のせいで…新汰は…！！」

その先は言わなくても分かる
そいつのせいで新汰は

記憶を失ったんだと…