「新汰、いつまでの記憶ならまだある?」

「…小学校の頃の事は…全く覚えてません…」

「てことは、中学生からの記憶しかないってことか?」

「いや、小学4年生から6年生までの記憶だけないんです…それ以前の記憶とそれ以降の記憶はあります」

小学4年から6年までの記憶だけ失われている
それ以外の記憶はちゃんと残っている

どーゆうことだ?
その失われた2年間に何かあったって事か?

もしかして、それが原因で
記憶障害になったって事か?

「新汰、その失われた2年間の間に何かあったのか?それも覚えてない?」

「…覚えてないです…」

「…そうか…覚えてないか…。新汰は、記憶を取り戻したいか?」

「…分かりません…何があったかも覚えてないから…もしその記憶が嫌な記憶だったら…思い出したくないです…」

嫌な記憶か…
もしかしたら、本当に何かあったのかも
しれねぇな

俺の勘だけど
それが原因なのかもしれない

俺たちがそんな話をしていると
ふいにドアが開いた


「新汰、調子はどう?」

「母さん…姉ちゃん…」

入ってきた人物は
新汰の母親とお姉さんだった

「お話してたの?」

「…うん。この人は玲央さん」

「こんにちわ。」

新汰に紹介され
俺は挨拶をし、頭を下げた

「玲央くん…これから新汰をよろしくね」

「はい、分かりました」

新汰にそっくりな母親と姉
笑った顔がそっくり

「私は、新汰の姉の梓凪です。よろしくね」

「よろしくお願いします」

梓凪さんか…いいお姉さんを持ったな新汰
俺の姉ちゃんとは大違いだぜ

「新汰、そーいえば今日検査の日じゃない?」

「あ、本当だ。忘れてた…じゃあちょっと行ってきます。」

「いってらっしゃい」

新汰と母親がいなくなった病室には
俺と梓凪さんだけ

何も話すことが思いつかなくて
ただ沈黙が続いていた

そんな沈黙を破ったのは
梓凪さんだった