今日もいつもと変わらない1日が始まった
こんな日がいつまでも続けばいいのに…

俺はいつしかそう思うようになっていた

「…奏多…まだかな…」

奏多はまだ来ていない
いつもならもう来る時間なのに

何かあったのだろうか

「いや…もしかして寝坊とか?」

あいつならやりかねないな
俺は自然に笑みがこぼれた

「まぁ…気長に待つか」

俺は空に向かって呟いた

にしても今日は何だか騒がしいな
病院内で何かあったのだろうか?

そんな事を考えていた時
ふいにドアが開いた

ガラッ

「玲央くん、今日からここ相部屋になるけどいいかな?」

「相部屋?誰か来るんですか?」

今までここは俺1人しかいなかった
だけどここは本来2人部屋なのだ

「東病棟からうつってきた子がいてね、空いてる部屋がここしかなかったから、相部屋にしてもいいかな?」

あー、そういう事か

「全然大丈夫ですよ」

「本当?ありがとね!仲良くしてあげてね」

「あ、はい…」

そう言って連れてこられたのは
1人の少年だった

見るからに健康そうな肌してんな…
つか、細いし白いなこいつ

「新汰くん、何か分からない事とかあったら隣に寝ている玲央くんに聞いてね」

「…はい」

そう言って看護師は出ていった
少年は、俺の方を振り向いた

「…今日からここでお世話になります、新汰です。よろしくお願いします」

「俺は玲央。新汰くんよろしくね」

軽く自己紹介をしたあと、少年は
俺の方へと歩いてきた

「…玲央さんは、何で入院してるんですか?」

いきなりの質問に俺は少し驚いた
だけど、言ってもいいよな別に

隠すことじゃねぇし

「俺は心臓が弱くてさ、もう長くないんだ。だからかな」

「心臓…ですか…もう長くないって…死んじゃうって事ですか?」

「まぁ、そーゆう事になるね」

俺の言葉に少年は驚いていた
そりゃ、驚くのも無理ないか

「そーいや、さっきから敬語だけどそんなかしこまらなくていいよ?」

「いや、俺玲央さんより年下なんで…」

「そ、そうなのか?つか、何で分かんの?」

俺がこいつに年を言った覚えはないぞ

「…颯人から聞きました」

「颯人?知り合いなのか?」

「はい…」

颯人と顔見知りだったのか
って事は、こいつは颯人と同級生?

「新汰くんは、中学2年生?」

「はい。そうです。」

やはり同級生か
友達なのだろうか?

颯人の友達なら
絶対いい奴だよな

顔は、前髪でよく見えねぇが
雰囲気的に、優しそうな少年だ

「じゃあ、同じ部屋同士仲良くしような!」

「は、はい!俺の事は、新汰って呼んで下さい!」

「じゃあ、新汰。改めてよろしく!」

「こちらこそよろしくお願いします!」

また1人の少年と出会えた
俺はこの出会いを忘れない