俺は気分転換に屋上に来ていた

「…久しぶりだな…ここ」

今日はまだ、颯人は来ていないようだ
あいつ元気にしてるかな

全然見舞いに行ってやれてねぇな…

「もう秋か…いつの間に変わってたんだよ…」

ずっと病室にいたからか
季節の移り変わりに全く気づかなかった

「やっぱり…空はキレイだな…」

病室から見るよりも断然キレイに見える
なぜか、空を見てると落ち着くんだ


ガチャ

屋上のドアが開いた
そこにいた人物は

「あ…玲央さん…」

「颯人…久しぶりだな」

颯人だった
相変わらず左目には包帯が巻かれている

「体調は大丈夫ですか?」

「…あぁ。何とかな。お前は?」

「俺も何とか…生きてます」

生きてる…か
俺もまだ生きてる…

死ぬまでにはもう一回
奏多に会いてぇな…

「…奏多さん…最近見ませんね…」

「っ!」

突然出た奏多の名前に
俺の胸は苦しくなった

「奏多さんとは、ここで話したのが最後でした…」

「え…?ここで?」

屋上で…一体何やってたんだ?

「奏多さんが、フェンス乗り越えてたんですよ…だから俺…死んじゃうんじゃないかって思って…急いでかけつけたんです」

「っ?!」

「…奏多さん…自分を責めてました…玲央さんが苦しんでるのは自分のせいだって…」

颯人のその言葉に
俺は目を見開いた

「あの時…玲央さんを止めた事を後悔してました…僕のせいでって…ずっと自分を責め続けてましたよ、奏多さん」

「そ、そんな…奏多…」

俺は…何やってたんだろ…
奏多が俺を苦しめてたんじゃない

俺が奏多を苦しめてたんだ…