奏多side

あの日僕は決意した
玲央の笑顔を取り戻そうと

そのためには少しずつでもいいから
玲央と話せるようになりたい

まずそこから始めよう
そう意気込み玲央の病室に入った

「玲央、お見舞いに来たよ」

「………」

相変わらずこっちを振り向こうとしない
やはり窓の外を見ているだけだった

「ねぇ、玲央。少しだけでもいいから話そうよ」

「…………」

かれこれ2週間近く玲央と話していない
季節も夏から秋へと移り変わっていた

「…ねぇ…玲央…僕もう一度玲央の笑顔が見たいんだ…」

「…………」

「もう一度…生きる希望をもってほしい…」

「…っ!」

玲央の顔が少しだけ振り向いた
だけど、玲央の顔は暗かった

そして玲央は
2週間ぶりに口を開いた

「…奏多…」

「っ?!玲央!やっと話してくれたね!」

僕は玲央が僕の名前を呼んでくれた事で
頬が緩んだ


これから玲央が何を言うかも知らずに…