気づけば僕は屋上にいた

ここで僕と玲央は出会った
今にも死にそうな顔をしていた玲央を
ほっとけなくて

僕は玲央に声をかけた

それが間違いだったのかな…
あの時僕が声をかけなかったら

間違いなく玲央は死んでた

やっぱり僕は玲央に生きてほしい
だけど、今の玲央を見てると

後悔ばかりが押し寄せてくる…

僕はフェンスを乗り越えた
結構高いんだな…ここ

こんな所から飛び降りようとしてたんだね
飛び降り経験者の僕には分かる

飛び降りるのには勇気がいる事
そして何より…怖い

僕もあの時死んでたら…
飛び降りた時に死んでたら

こうして玲央と出会う事もなかったのかな…

「…飛び降りて生きてるなんて…奇跡だよね…」

だけど、ここから落ちたら必ず死ぬ
高すぎるから

きっと即死だと思う

「ここから見る空はキレイだね…玲央が言ってた通り」

すぐそこにある空は
手が届きそうで、届かない

手を伸ばしてもやっぱり届かない
届くはずないんだ…

「まるで今の僕と玲央みたいだね」

手が届きそうで届かない
今の僕と玲央のようだ

あんなに居心地がよかった玲央の隣
だけど今は…居心地が悪い…


もう一度笑ってほしい
玲央の笑顔が見たい

「…僕は玲央のために何がしてあげられるかな…」

こんな無力の僕に
何が出来るのだろう…