奏多side


余命宣告を受けてから
玲央は笑わなくなった

「玲央、体調どう?」

「…………」

僕が話しかけても答えてくれない
ずっと黙ったまま

僕と目を合わせようともしない
ただ窓の外を見ているだけ

「玲央…」

「………」

僕が名前を呼んでも無反応
前までは笑顔で返してくれたのに…

「玲央…僕今日はもう帰るね…バイバイ…」

「…………」

玲央と一言も話すことなく
僕は玲央の病室を後にした

そして僕はとある人物の所へと
足を運んだ


「…颯人…体調はどう?」

「奏多さん…いつもありがとうございます」

玲央のお見舞いの後に颯人のお見舞いに来る
それが僕の日課だ

「颯人も大変だね…辛いでしょ…?」

「確かに…辛くないと言えば嘘になります」

「颯人にも…余命があるの…?」

「…どーなんでしょうね…分かりません」

分からない?
それはまだ余命は宣告されてないという事?

「俺はまだ、余命宣告されてないですから」

「…そっか…」

「奏多さん…そんな悲しそうな顔しないで下さいよ」

悲しそうな顔か…
僕はそんなにひどい顔をしているのだろうか

確かに…しているかもしれない

玲央が希望を失ったあの日から
玲央は変わってしまったのだから…