屋上を後にした俺は
病室へ向かっていた

奏多にこの事を伝えたら
奏多はどんな顔をするだろうか


「ただいま…」

「おかえり。玲央」

「奏多…話があるんだ」

「…ん?何?」

奏多は不安そうに俺の言葉を待っている

「…俺の命は…残り半年らしい…」

「っ?!そ、そんな…!!」

やはり奏多は驚いていた
信じたくないと、その目が語っていた

「俺だって信じたくねぇよ…でも事実なんだ…」

「こんなに治療頑張ってたのに…!辛くても苦しくても…玲央は耐えたのに…!!何でだよ…!!!」

「っ?!」

初めて見る奏多の怒った顔
いつもの奏多からは想像も出来ないくらい
奏多の目は怒りに満ちていた

「…何で玲央なんだ…何で玲央が死ななきゃならないんだよ…!!玲央に罪はないじゃないか!!」

「奏多…落ち着け」

余命宣告を受けた俺より
怒りをあらわにしている奏多

俺はなぜか落ち着いていた

「こうなることは分かってたんだ…前から…治療なんかしたって治らないこと、余命があるということ…全部分かってた…」

「…玲央っ…!」

「奏多…ごめん…せっかく生きる希望を教えてくれたのに…やっと希望が持てたのに…俺はまた…希望を失っちまった…」

「…っ?!」

俺のその言葉に奏多の目から涙がこぼれた

また俺が泣かせてしまった
奏多の笑顔を守ることが出来なかった…
颯人の笑顔も…


ごめんな…奏多
ごめんな…颯人

俺は心の中で何度も2人に謝った