今日もまた、辛く苦しい1日が始まった
希望なんて見えない

俺は真っ暗な闇の中にいるような…
そんな感覚に陥っていた


「…玲央…大丈夫…?」

奏多が心配そうな顔をして
俺に聞いてきた

あの日から毎日、奏多は俺の所へ来てくれている
会えなくても、ちゃんと来てくれている

本当…こいつは優しい…

「…大丈夫…だよ…」

俺は笑顔でそう言った
だけど、本当は笑えなかった…

「…嘘つき…全然大丈夫じゃないじゃん…無理して笑って…」

俺の嘘は奏多には通じなかったらしい

「ははっ…本当…奏多には適わねぇな…」

「玲央が無理してる事くらい…お見通しだよ…」

あの日から奏多は、あまり笑わなくなった
いつも不安そうで悲しそうな顔をしている

奏多には笑ってほしかったんだけどな…
俺のせいだよな…

「ダメだな…俺…」

「…どーして?」

「奏多の笑顔…奪っちまったからさ…」

「…っ!」

ほらまた…悲しそうな顔をする…
しばらく沈黙が続いた

そんな沈黙を破ったのは俺でも奏多でもなく

「…玲央くん、検査の時間だよ」

看護師の声だった

「はい…分かりました。奏多、少し待ってて」

「…うん…分かった」

「んじゃ、行ってくる」

俺は病室を後にした