また帰ってきてしまった
ついこの前までいた病室

「…玲央、奏多くんには伝えたの?」

「うん…一応言っといたよ」

あれから俺の体調は悪くなる一方で
なかなか奏多には会えていなかった

元気にしてるかな…あいつ

「…玲央くん」

「…先生…今日からまたお世話になります」

俺の気分は下がったまま
本当は、入院なんてしたくない

「玲央くん、今日から治療を始める。辛いと思うけど、頑張ってほしい」

「…はい。分かりました」

そして、俺の腕に点滴が打たれた
久しぶりだな…この感覚…

これじゃ、会いたいときに
奏多に会えないじゃねぇか…

「…玲央…」

「ごめん母さん…今は1人にしてほしい…」

「…分かった…何かあったらすぐ呼んでね」

「うん…」

母さんが病室から出て行くと同時に
俺の目から涙がこぼれた

「…くそっ…!何でだよ…!何で…!」

俺はひたすら泣いた
悔しくて…悲しくて…

そして何より…
死が近づいている事が怖かった…